介護職員研修「自分でできる本格的なセルフケア」レポート

令和6年10月18日(金)、自治体やテレビ番組などの体操指導などで活躍している久野秀隆先生を講師にお招きして「自分でできる本格的なセルフケア」の研修会を開催しました。会場のアミューあつぎには会員を中心に26名が集まり、忙しく時間がない中でも健康を保てるストレッチや体操を学びました。

18時30分からセキト介護ステーションの相澤さんの司会で研修会をスタートしました。

 

来住会長からご挨拶
本日はお忙しい中お集まりいただきありがとうございます。久野先生には以前にも研修をしていただき今回は2回目となります。私は腰痛を持っているんですが、毎朝簡単なストレッチをするようになってだいぶ楽になりました。介護の仕事は重労働ですので、今日教わったことを続けていって体を壊さないようにしていきましょう。ぜひ、今日参加できなかった方にも伝えていただきたいと思います。

 

 

 

 

久野秀隆(ひさのひでたか)先生のご挨拶
みなさんこんばんは。私は地域包括などの講演も担当しているので、どこかでお目にかかった方もいるかも知れません。介護予防で食べている数少ない人間の一人です。日本は予防に予算がつかない国ですので、介護保険に関わるお仕事されているみなさんは「予防できていたらよかったのに」という場面も多々あったかなと思います。今日はご自身の健康管理が主ですが、お仕事の現場にも活かせる内容になると思います。また、変わったお仕事としては自治体の高齢福祉部門の予算に関わるアドバイスや国会で認知症予防の答弁を行ったりもしています。

最初に参加者の体調を確認して、首周りのストレッチから教えていただきました。
最初に首を回して見える範囲を覚えておきます。首を左右や右前、左前に倒して僧帽筋などをのばす運動をしていきます。15秒ぐらいずつ左右交互にストレッチしたあと、両手のひらを頭の後ろで組んで頭を前に倒して首の後ろを伸ばしていきます。最初にやったように首を左右に回してみると見える範囲が広がっていることを確認できました。首の後ろが柔らかくなって血流が多くなると頭痛がとれ、良く眠れるようになるそうです。

 

 

 

 
 

「要介護」になる理由の順位は?という問いかけが有りました。
答えは… 1位:認知症、2位:脳血管障害、3位:衰弱(フレイル)、4位:転倒骨折、5位:関節痛。現在、65歳以上の5人に1人が認知症と言われています。以前の言われていたように運動だけしていても成果が出ないので、「運動」に加え「栄養」や「口腔ケア」「社会参加」を促さないとフレイル予防にはならないと言われるようになっています。要介護になった方にとってデイサービスやグループホームのレクリエーションなども社会参加の場となっています。

 

「肩こり対策」として背中の筋肉をもみほぐしていきます。

 

 

 

 

左の脇の下に右手を入れて脇の付け根からやや下にある背中の筋肉を指で揉んでゆきます。届きにくい方は椅子に座って上半身を倒して前かがみになると届きやすくなります。これはテレビを見ながらでもできるので、寝る前に行うとリラックスしてよく眠れるようになります。反対側も同様に行いました。平野先生が参加者を周って順番に揉む場所を教えてくれました。
次に肩甲骨を動かして周りの筋肉を柔らかくしていきます。右手で右肩を触ったまま肘を下から前、真上に上げて後ろ方向に大きくゆっくり回します。続いて腰に手を当てて肘を前後に動かし、肩甲骨を開いたり寄せたりパタパタししたり、両手を上げたところから肘を曲げて肩甲骨を寄せる運動などをして背中の筋肉を柔らかくしました。

 

 

 

 

 

二人一組になってストレッチを行いました。

 

 

 

 

1つ目はバンザイしている相手の腕を引っこ抜くように上に持ち上げる運動や、背中をさするなどを交代して行いました。また、座っている相手を立ち上がらせる時に相手の手首を小指と親指で下から挟んで引っ張ると背中の筋肉を使って起こすことになり、比較的楽に立ち上がらせることができるそうです。椎間板ヘルニアの説明もあり、姿勢をよく保つことが予防につながると教えていただきました。

 

休憩時間にも参加者の相談に丁寧に答えていただき、みな真剣に聞いていました。

 

 

 

 

 
「腰痛対策」腰の筋肉を柔らかく保つと足のしびれや坐骨神経痛などの予防になります。

 

 

 

 

椅子に浅く座って、背もたれに寄りかかる姿勢から上半身を前に倒していきます。深くお辞儀した時に頭が膝より前に出るようにします。前後に繰り返し10回を2セット行います。続いておしりのストレッチです。座った状態で左足を右膝の上に上げ、上半身を前に倒します。10〜15秒続けていると乗せた足のおしりの外側の筋肉がのびて柔らかくなります。足踏みをすると足が軽く感じられると思います。次に両手で右膝を抱えて腿を上げて回転させることで股関節をほぐしていきます。左側も同様に行います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「膝痛対策」関節を柔らかくしてから、太ももの筋肉を揉んでゆきます。

 

 

 

 

はじめに自分の膝を触って左右の大きさの違いを感じてみましょう。まず膝に手を乗せて、お皿を温めるようにグルグルさすります。1分ぐらいずつ左右行い膝の関節を柔らかくします。
次に太ももの中心より膝に近い部分をつかんで、骨から剥がすように揉んでゆきます。左右同様に行います。

続いて椅子に浅く座り、片足を前に出してそのつま先を自分に向けるように目一杯上に立てた状態で上半身を前に倒します。左右10秒ぐらいずつ行うと太ももの裏が伸びて柔らかくなります。

 

 

 

 

最後にふくらはぎのストレッチです。右のふくらはぎを左の膝に乗せて上下にグリグリ動かします。ふくらはぎの血流が良くなるとむくみが取れて足をつることが少なくなります。反対側も同様に行います。

 

 

 
 
 

久野先生からまとめのお話
首や肩が柔らかくなるとよく眠れるようになります。ストレッチは毎日続けていると2週間くらいから変わり始め、2ヶ月ほどで本格的に変化が出てくると言われます。体調が良くなったと感じた方は続けていただき、効果がないと思った方は他の方法も取り入れてみてください。最後にこの5年間フレイル予防が厚生労働省のとり組んでいる健康政策です。社会参加が少ないと衰えやすくなるので、レクリエーションや色々な集まりに参加する機会を増やすことで認知症予防などにもつなげていただきたいと思います。本日はありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

岡島副会長から閉会のご挨拶
コロナの影響で暫く体験型の研修を行うことが難しかったのですが、本日は久しぶりに行うことができました。始めてお会いするという方もいらっしゃったと思います。今後も交流の機会としても研修会を行っていきますので、様々な情報交換につなげていただきたいと思います。久野先生、本日はありがとうございました。

 

★今回の講習については以下のリンクから「復習動画」をご覧になれます。
●肩こりの講座を動画で復習(外部リンク)
●腰痛の講座を動画で復習(外部リンク)
●膝痛の講座を動画で復習(外部リンク)