厚木市市議会議員の皆様との意見交換会

厚木市市議会議員の皆様との意見交換会(平成30年2月15日 於:アミューあつぎ)

例年議員の皆様たちとの意見交換会は議題を決めて開催してきたが、介護の抱える問題点について広く意見を交換するため、今年度はあえて議題を決めずに行うこととした。また、当会に加入する事業所の提供するサービスは「通所介護(デイサービス)」と「訪問介護(ヘルパー)」が多いことから、意見が偏ってしまうことが考えられるためサービスごとに時間を区切って、「訪問入浴」や「福祉用具」についても意見の交換が活発に行われるように配慮した。しかし、深刻な人手不足の状況もあり、訪問入浴やグループホームの事業所では管理者が入浴サービスや夜勤などのシフトを代わることができず、今回参加できないという事業所も多かった。

ご出席いただいた厚木市議会議員の方々と厚木介護保険事業所連絡会の役員

釘丸 久子 議員/栗山香代子 議員/髙田  浩 議員/髙橋 知己 議員/田上 祥子 議員/寺岡まゆみ 議員/名切 文梨 議員/山﨑 由枝 議員/渡辺 貞雄 議員(五十音順)

厚木市介護保険事業所連絡協議会 会長のご挨拶

会長 篠原 恵美

介護保険制度が始まって18年が経過しました。この間に何度か改訂がありましたが、今年の4月には要支援者の訪問介護・通所介護は介護保険制度から外れ、市町村が実施主体の事業に完全移行する大転換が実施されます。更に、厚生労働省は要介護の軽い方の家事支援については自費利用の方向で議論がされているようです。私の会社は介護保険制度の始まりと共に訪問介護を中心としたサービス提供を開始し、現在に至ります。当初は介護保険から家事支援が外れることなど夢にも思いませんでしたが、2025年には介護職員が38万人不足すると考えられており、安定した介護サービスを提供するためには国も避けて通れない大きな決断を迫られているようにも感じます。しかし、高齢者の中には介護サービスが十分に受けられず「介護難民化」という最悪な状況も予想されています。このような現状を踏まえ、私たちの協議会では一人暮らしや孤立する高齢者の身近な代弁者として、行政・医療・福祉と連携しながら様々な課題に取り組み、その方らしい生活を実現するお手伝いをさせていただければ幸いです。

①18:00〜 篠原会長より開会のご挨拶

本日、議員さんにはお忙しい中お集まりいただき、サービス内容ごとに考えていることや困りごとなどについてお話できる機会を得られたことを感謝いたします。テレビでは連日、平昌オリンピックのニュースが流れていますが、介護に関わる私たちにとっては4月からの制度改定のことのほうが気がかりです。この意見交換会を有意義なものにして、安心して次年度を迎えられるよう、よろしくお願いいたします。

②18:10〜 ケアマネジャー

はじめにケアマネジャーの立場から介護と医療の連携について問題提起があった。以前から「地域包括ケア」と謳われ、ケアマネジャーとして日頃から協力したいと考えている。しかし、医師との連携には問題を感じることがあります。先日、透析を受けている利用者さんがインフルエンザにかかってしまい、透析センターでは送迎をしてもらえなかったため、結局ケアマネジャーが対応せざるおえなかったということがありました。また、薬の処方についても病院から処方箋をFAXしてもらえれば薬局から高齢者に届けることができるのに、そのような対応はできないということだった。医療機関が少しやり方を変えるだけで、スムーズにサービスを提供できるようになると思う。また、今回の法律改正では地域包括ケアを進める上で事業所の管理者は主任ケアマネの資格を持っていなければならないことになるが、一方で特別養護老人ホームでは施設長の国家資格が無くてもよいということで、法律の決め方が偏っているという印象がある。こうした細かい問題も含め、今後解決していきたいと感じている。

【意見交換】 ■=市議会議員の発言 ◯=会員の発言

■在宅で老老介護が進む中、子どもと一緒に住まなくなった家庭では施設に頼らざるを得なくなっている。緊急の場合に来てもらえるような体制づくりが必要になっていると感じる。

■送迎の問題について、解決策がすぐには思いつかない。何か対策案があるかお聞ききしたい。◯地域包括ケアは博愛精神が原点になると思うが、医療機関は「うちの仕事ではない」となってしまうことが多く、「制度」というよりは、「啓蒙」していかなければならないように感じる。心配りと少しの手間を惜しまずに対応できるようになってほしい。

■グループホームを利用していた母が怪我をして病院に入院した時、認知症が進んでしまったことがあった。ケアプランを作る時に介護と医療の連携がもっとできると良いと思う。お話を聞いて切実さが伝わってきたので、今回のように意見をいただければ、行政を変えてゆくことはできると思います。

■厚木市では新年度から医師会との連携をとる窓口をつくることが決まっている。

■団塊の世代で時間に融通のきく人材はいる。まるっきりボランティアというのは難しいが、手伝いに動くことはできる。

◯総合支援事業に対応できる事業所は少ない。

◯町内会(自治会)を介護支援の拠点として指定することはできないか行政の方に聞いたことがある。

◯森の里地区ではルートを決め、地域の男性が運転手として乗り合いバスを運行するサービスを提供している。

◯有償ボランティアとして地域の方に動いてもらえる制度を推進してほしい。

■現在でも家事などを有償でやっているところがある。◯地域包括支援センターに人材を探す担当を置いてほしい。

■平塚では地域にある町内福祉村と連携して対応している。

◯地域コーディネーターとケアマネは現状では連携していない。ケアマネは所属する会社での立場があり、介護保険を使わない業務に関わることは経営的な面で考えても難しい。厚木市内のケアマネは人数が減っていて対応できない部分を市外に頼っている深刻な現状がある。その上、3年後に各事業所に主任ケアマネが義務化されると閉鎖せざるを得ない事業所も出てくると考えられる。また、主任ケアマネを取得するには要件が厳しく、研修に費用と時間もかかるため通常の業務の中で取得することが困難になっている。

■現在、厚木市の補助はどうなっているか。

◯キャリアアップ制度で主任ケアマネの費用などは市から出ている。通常の業務しながら時間を作ることが難しい。

◯事業所で手間と費用をかけて主任ケアマネを養成しても資格を取ったら辞めてしまうこともある。経営者としては事業所がそこまで負担しなくてはならないかと疑問に感じる。

◯ケアマネ不足のため依頼があっても受けいれられず、複数の事業所で断られる「ケアマネ難民」が増えている。事業所内でケアマネを介護現場から転任しようとしても現場でケアに当たっている人材が不足しているので、現場の仕事から抜けられても困るという状況がある。ケアマネが居なくなるとサービスを受けられない利用者が出てしまうので、解決する方向を探してほしい。

◯介護職員が不足していることが原因でケアマネ不足につながっている。ケアマネの資格を持っていても現場の職員を続けてもらわないと業務がまわっていかない現状が有る。

■ケアマネさんの業務形態はどうなっているか?

◯ケアマネさん単独でやっている場合や居宅支援などの事業所に所属して業務を行っている場合がある。しかし、仕事としては公正中立という決まりがあるので、所属以外の事業所にもお願いしている。また、ケアマネは個人では行えないので、一人でやっているケアマネも株式会社など法人を取得して行っている。

◯一人でやっているケアマネさんは、その人が業務をやめたあとの利用者さんの扱いなどに問題もある。

 

③18:45〜 デイサービス

はじめにデイサービス事業所から現状についての話があった。市内の事業所数は飽和状態となり、閉鎖する事業所が増えてきている。人手不足も影響していると考えられる。地域包括ケアシステムの構築と言われ、段階の世代が75歳を迎える2025年が迫ってきている。2年前から事業所で利用者の作品発表会を始め、少しずつ地域の方の参加者が増えてきている。顔見知りになり、花や野菜を持ってきてくれる人もいる。何かあった時には顔を知っていることが基本になると思うので、オープンカフェなど施設を開放した活動を行っていく。また、地域の結びつきを深めるため、市が中心となりインターネットを使った情報を共有と地域のキーパーソンを集めたプロジェクトチームを作って連携していきたい。先日、市内の事業所が集まって就職相談階を行ったが、来場者を集めることが難しく、条件の悪い介護の職に就きたいという人が少ないという現実が有る。人を育成するセンターなどを作るなど、議員さんの協力も必要となっている。介護保険制度の改正で、介護全体の報酬は上げてゆく方向と言われてるのに、デイサービスについては減っている。国からは「デイサービスは要らない」と言われているように感じる。事業所によっては同じサービスを提供しても月額マイナス15万円となってしまい経営は厳しい。余裕がなくなると、軽度の利用者にはサービスを提供できなくなってしまう。要支援など軽度の方は受け入れづらくなっているが、断れば行き場がなくなる。厚木市は国と違って2年半は総合事業に完全移行せずに、報酬を従来程度に維持して既存の事業所を活用することになっている。その間に、地域包括などが中心となって要支援者など軽度な方が利用できる人材や施設を増やしていくことに力を入れていかなければならない。また、「お泊りデイ」が増えてきているという問題もある。デイサービスのフロアをカーテンなどで仕切っただけの設備でも条件が揃えば県の認可が出て営業できてしまう。こうした事業所にも介護職員が分散するため人手不足も進んでしまい、既存の事業所は潰れてしまう。厚木市も事業所を規制することに手を貸してほしい。

【意見交換】 ■=市議会議員の発言 ◯=会員の発言

■自治会に入ることや、民生委員が名簿を作るために伺っても断る人も居る。自治会に入らなくても名前がわからなくても地震など災害の時に市民は守らないわけにはいかない。自治会、民生委員と地域包括などで連携しなければならないが、矛盾が生じた時に、誰が束ねてやっていくのかが難しい問題。◯利用者さんでアパートの2階に住んでいた人が足に障害が出て、1階に引っ越せばなんとか一人で暮らせるが、生活保護も受けていて、引っ越しの資金がないということがあった。医師が「入所レベル」と判断したことで、生活保護の担当者からは引っ越しの予算が出せないと言われてしまった。地域で暮らせるようにと言いながら、行政が動かなかったので、改善できないかと思う。介護保険と生活保護の縦割りの問題もあったのではないか。高層階からの引っ越しの費用を助成する制度も検討してほしい。また、小鮎川が増水した時には、避難勧告が聞こえない高齢者の方が近くに居るのに市の職員は川の様子だけ見て帰ってしまった。弱者の把握をして市は対応を考えるべきと思った。

■誰がどこに住んでいて、支援が必要かどうかを把握できていれば対応できるが、登録しない人をどう把握するかが問題。

■防災無線をが聞き取れない方々には防災ラジオを4000円で配っているので、利用してもらいたい。

■軽度の方の報酬を下げることで利用できなくなるというのは、軽度なうちに利用することで悪化を防止できるので残念。この総合事業が始まった時に事業所が運営できなくなることや人材不足を懸念していたが、国は方向性を変えなかった。実態を伝えてゆかないと悪化する方向になってしまう。

◯18人以下の事業所で地域に開いて行う「運営推進会議」を半年に1回行っているが、そこに市議会議員さんをお招きしてもよろしいのでしょうか。

■情報を頂いて、予定が合えば伺いたいと思います。

◯どこの事業所を使うかは利用者さんが自由に選んでよいのだが、エリアが広いと送迎に時間がかかってしまうので、自分の住んでいるのエリアから近い事業所から選んでもらえるよう勧めてもらえるとよいと感じている。

④19:15〜 訪問入浴

はじめに訪問入浴のサービス内容についての説明があった。訪問入浴は看護師とヘルパーとオペレーターの3人一組でサービスを提供している。処置がない人で、40分程かかるが医療処置の必要な人も多く、時間が15〜30分超過してかかる場合でも介護報酬は変わらない。3人揃わないとサービス提供できないので人材を確保することが難しい。看護師やヘルパーは求人を出しても応募がないのが現状。1日に6〜7件のサービスを提供しているので、体力が必要になる。家族の方の都合で夕方からのサービス提供を希望される方もいる。

【意見交換】 ■=市議会議員の発言 ◯=会員の発言

■市内のサービス提供は今ある5社で足りているのか?

◯利用する期間が短いことなどが有り、利用数が少ないので不足しているということは聞かない。

◯利用の予約があってもバイタルを測って入浴ができないこともあり、その場合は伺っても報酬は得られないことになる。

⑤19:30〜 グループホームグループ

ホーム管理者から問題提起と質問があった。部屋が空いているのにのに入れない人がいる。地域包括ケアではなるべく施設に入らないという方向があり、サービス付き高齢者住宅も増えていて、費用が安いので利用者が流れている。グループホームは認知症対応型の要件にあわせた設備などのため、家賃が上がってしまう。近隣の市町村では家賃に補助金が出されているが、厚木市では障害者に限定した制度になっている。その理由と今後は高齢者にも拡充するか聞きたい。

【意見交換】 ■=市議会議員の発言 ◯=会員の発言

※障害者限定になった理由をご存知の議員さんがいらっしゃらなかったので、調べて本会に報告をしていただくことになった。

■家賃の助成金を高齢者まで広げることについては、近隣の市でできているのであれば。合わせる方向で進めてゆきたい。

■全国展開しているグループホームでも経営が厳しいということは聞いている。実際に利用者の現状はどうか。

◯サービス付き高齢者住宅に入っても認知症が無い人と同様に生活するのが難しい場合は出されてしまうことも有る。そこで代わりの施設を探して移住すると、環境が変わるので負担がかかることにもなるので、折角空いている施設があるのであれば、最初からそこを利用するほうが良いのではないかと思う。

⑥19:45〜 訪問介護(ヘルパー)・訪問看護

はじめに訪問介護の事業所から質問があった。障害の方でも65歳になって要支援に移行されてくる利用者が増えて、人材不足が予想されます。訪問介護の資格を持たない方にもボランティアの方にも要請するようになると考えています。現状では社協の方に聞くぐらいしか方法がないのですが、個人の方などに連絡する方法があればご紹介ください。

【意見交換】 ■=市議会議員の発言 ◯=会員の発言

■小鮎ではボランティアの方で民生委員をされた方は色々なところで活動されているので、つながりがあると考えられる。

◯施設に行っている方はある程度居るが、地域に密着して個人で訪問されている方の人材確保が必要になってくる。

■人材バンクのような登録システムを作る必要性が有る。

■個人でやっている方は居る。社協のグループなどとあわせてやってゆくべき。紹介は個人情報などに配慮が必要となる。

■ボランティアの人に来てもらって嫌だったという人もいる。近隣の人であればなお嫌だと思う人もいる。

◯私たちが訪問しても、認知症で「知らない人が来た」とか「食べたくないものを作られた」という方もいる。ボランティアの相性もあるし、要支援の方の手助けになれば良いと思う。

◯利用者さんと合わないという場合にも、ある程度テクニックで解決できることも有るしスキルや経験で対応できることもあるので、育成が必要になってくる。また、疲弊しているスタッフには交代が必要になることもある。100人いれば100通りの対応が有るので、その人が家で暮らすことの大変さを理解して対応することが大切。調理や家事全般の費用を削減したり、訪問介護や訪問看護の予算を数るという考えもあるようだが、早い時期にケアが入ることで医療との連携が取れ、症状が軽いうちに済ませるという考え方もある。◯個人宅に訪問する際に、駐車場が問題になることがある。市の施設が近くにある場合は訪問の間、駐めさせてもらえるよう検討してほしい。

■児童館や老人憩の家などの駐車場を使えるように検討したい。

まとめ

①社会資源としてのボランティアの取りまとめが必要。

②訪問介護・訪問看護で早期対応で効果を上げる。

③市の施設の駐車場利用を検討して頂く。

 

⑦20:00〜 松尾顧問より閉会のご挨拶

いろんな問題が有る中で、何から手をつけたらよいかわからないが、一番大きな問題は人手をどう集めるかということになると思います。総合事業と要支援の対応には昔のヘルパー3級程度の知識や技術で良いから新たな人材を養成していかなければならなくなると考えています。そのためには、厚木市にもっと市社協を活用することに目を向けてほしい。研修事業を委託して広く人材を育成して頂いたり、市社協の機能を強化して高齢者福祉を担っていく先駆的な事業も行っていってほしい。私たちは地域で一番高齢者に接している立場ですから、このような意見交換の場を続けてこれからも事業に対しての問題を出してゆきます。今日は本当に長時間ありがとうございました。

 

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 180215厚木市議会議員意見交換会s

編集:株式会社デザインコンパス(藤原)