介護職員研修「介護現場で求められる接遇とマナー」レポート

令和5年10月16日(月)、講師にHOTシステム株式会社の蜂谷英津子先生をお招きして「介護現場で求められる接遇とマナー」研修会を開催しました。会場のアミューあつぎには会員20名ほどが集まり、18時30分から研修を開始しました。プログラムは、1.接遇マナーの重要性→ 2.表情→ 3.態度→ 4.身だしなみ→ 5.挨拶→ 6.言葉づかい という順番で先生に解説していただき、ワークシートの空欄を埋めていきながらわかりやすく教えていただきました。お話だけでなく途中で2人組になって行う“ワーク”を取り入れた研修でした。参加者のみなさんが真剣にメモを取る姿が印象に残りました。

 

来住会長より開会のごあいさつ

「3年ぶりにこうして集まって研修会を行うことができました。昨年度オンラインで行った際には参加者が少なく寂しかったので、対面で実施できることをとても嬉しく感じています。ぜひ、今日の研修内容を各事業所に持ち帰って、参加できなかった方々に伝えていただいたり、これから行う研修などに取り入れていただくようお願いします」と挨拶がありました。

 

 

 

 

蜂谷英津子先生の自己紹介

蜂谷先生から「はじめに、少し自己紹介せてていただきます。私はホテルやデパートのVIPゲストの接客や大手の介護事業所で職員の人材育成に関わる仕事に従事してきました。その後、HOTシステム株式会社を設立しました。みなさんと同じように介護の現場で働いた経験を活かして、介護現場に必要な接遇とマナーをお伝えしています。最近は書籍や福祉の専門誌への執筆や教育用のDVDの研修なども行っています。今年8月に第一法規から「介護職員の接遇スキル」という本を出版しました。協会に1冊進呈いたしましたので、みなさんでご活用ください」とご紹介がありました。

 

1.接遇マナーの重要性

介護スタッフの役割から考える適切な接遇方法についてご解説いただき、利用者様を不快にさせない言葉づかいやマナーについて学びました。その後、ワーク①では「なぜ、介護の仕事にはマナーが必要か?」という問いに、参加者で2人組のペアになって意見を出し合いました。参加者からは「訪問介護ではお宅に上げて頂くので、信頼していただける態度が必要」「利用者様に受け入れてもらえるようにマナーが必要」などの意見が出されました。

 

 

 

 

蜂谷先生から「利用者様に安心感をもって楽しく過ごしていただくのと同様に、協力関係を築くため一緒に働く人へのマナーも大切」とお話があり、「相手はマナーを通じてあなたの心を受け取るので、心と形の両方が大切」ということを学びました。

 

2.表情の大切さ

「利用者様は介護職員の表情や態度から様々な情報を受け取っている」というお話があり、穏やかな笑顔をつくるためのポイントを教えていただき、「ウイスキ(ィ)」と言った時に口角の上がった好感度の高い表情の練習しました。蜂谷先生は「マスクをしている時でも口元の動きが目元にも現れるので、相手には伝わる」ということでした。

ワーク②では2人1組になって、1人が「よろしくお願いします」と言い、もう1人が「こちらこそ」とこたえる時に、アイコンタクトの有無で相手に伝わる印象が違ってくることを体験しました。忙しくなると「言葉」を言っているだけになりがちです。声をかける時にはできるだけ「目を合わせ」たり、「笑顔」など動作を加えて、円滑なコミュニケーションを図りたいと思いました。

 

3.態度から伝わるメッセージ

介護職員はその姿勢や行動を見た人が、不快にならないような態度を心がけたいものです。はじめにどんな態度がマイナスの印象を与えるのか説明があり、「立った姿勢」「座った姿勢」「物の渡し方」についてのポイントを教えていただきました。ワーク③では「物を渡す時」に印象の良い身のこなし方をロールプレイングで学びました。

 

4.身だしなみのポイント

最初にワーク④で「身だしなみ」と「オシャレ」の違いについて話し合いました。「身だしなみ」は相手本位で考え、不快を与えないようにする「気配り」であるのに対して、「オシャレ」は自分本位であり、自己の好みを優先しているという意見が出されました。介護現場での身だしなみのポイントは利用者様の価値観にあわせた外見とともに、「清潔感」や動きやすい「機能性」も重要であることを教えて頂きました。また、服装に「安全性を備えていること」で安心して任せていただける「信頼感」にもつながるということを理解できました。
〈休憩〉

5.挨拶はコミュニケーションの第一歩

はじめに挨拶のポイントは「自分から先」と「語先後礼(ごせんごれい)」ということを教わりました。自分から先に挨拶の言葉をかけ、その後にゆっくりお辞儀をするのが基本ということでした。「基本のお辞儀」に続いて「美しいお辞儀」の角度が場面によって3種類あることを学びました。実際にお辞儀を練習した後で、2人1組でお辞儀の角度などを確認し合いました。また、「挨拶に続ける言葉」や「職場での挨拶」についても学び、礼儀正しくけじめのある言葉づかいが組織の一員として働く者にとって大切であることがわかりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

6.言葉づかいは心づかい

言葉づかいによって相手をいたわったり、傷つけたりします。ワーク⑤では「親しみ」と「なれなれしさ」の違いについて意見を出し合いました。「身近に感じて親しみを持つことと、遠慮なく相手の気持を考えないことは違う」「日々ふれあって身近に過ごしていると言葉がなれなれしく雑になっていることがある」などの意見が出ました。蜂谷先生から利用者様との関係は「冷たくなく、なれなれしくもない適切な距離感を保つことが必要である」と教えていただきました。また、敬語には「丁寧語」「尊敬語」「謙譲語」の種類があることや、内(自分側の人)と外(外部の方)の使い分けなど、それぞれの場面に応じた正しい使い方について学びました。先生自身の介護現場での経験から「場面によって“友だち言葉”を使うことでよそよそしくならずに親近感をもっていただけることもあるので、敬語以外は絶対に使ってはいけないということではない」というお話もありました。

 

 

 

 

 

 

 

 

相手の気持ちを考えた「言葉選び」と「優しい言葉づかい」が大切で、スタッフ同士の会話であっても利用者様に伝わることもあるので、普段から言葉づかいには気をつけなければならないことを理解しました。

 

★先生のまとめと参加者の感想

プログラムを終えて「マナーにはバランス感覚が必要です。TPOを考えてその場に適した行動や言葉を選んでいくことが大切です。“過去と他人は変えられない”と言いますが、“自分と未来”は変えることができます。今日の研修で気づいたことを自分からなおして、明日からの業務に活かしていくことが未来を変えていくことになると思います」とご指導いただきました。

研修を振り返って参加者から「介護の仕事をする中で、これまで何気なくやってきたことが相手に不快を与えていなかったかと考えさせられた」「友だち言葉は絶対にダメと言われると思っていたが、適切に使えば良いと聞いて安心した」「形だけ整えても相手を思いやる気持ちがなければ伝わらないわかったので、事業所に帰って伝えていきたい」などの感想がありました。

研修の終わりに、今日学んだ「語先後礼」の挨拶方法で「ありがとうございました!」と全員で言って、ゆっくりお辞儀をしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

最後に副会長の岡島さんから閉会の挨拶がありました。「以前にも蜂谷先生に研修をして頂きましたが、今回改めてお話を聞いて新しい気づきが有り、自分を振り返る良い機会になりました。きれいな言葉づかいをすると自分自身も癒やされると思うので、忙しく大変な時にも今日学んだことを思い出してがんばりましょう」という言葉で研修会を締めくくりました。

 

 

 

 

 

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HOTシステム株式会社 代表取締役

介護人材育成コンサルタント 蜂谷英津子

(HOTシステム株式会社ホームページ)

https://www.hotsysytem.com/